随想

大野一道先生のリサイタル「玄」(おおもと)

「政権交代も現実のものとなり、世の中が大きく変わろうとしています。
明らかな未来を開くために原点を見つめることが重要となります。
老子は玄々(玄のまた玄)という文字に無限の宇宙を表しています。宇宙は全ての原点。「玄」-おおもとーは原点に立ち返ることを目指して付けたテーマです」
金色のチラシの大銀杏は兵庫県加西市のご自宅の裏山にある県指定天然記念物のお葉つき銀杏で、彼の子供時代の原点だそうです。
「プログラム大1部の荒城の月や唱歌は日本の歌のおおもと。二部の神話を題材にした
モノオペラ「やまたのおろち」は日本の国の成り立ちのおおもと。
自らのおおもとに立ち返り、全てを包み抱く宇宙、全体世界との一体感を深く美しい日本の言葉で歌い上げようと思います。」と書かれていました。
大野一道先生は芸術論「観る」という本を出版されていたり、音楽現代の連載ももう54回を執筆なさっています。
内観共振法という独自の発声法で本来の自分の声を見つけ、地球と一体の自然なリズムとフレーズに委ねて、深く美しい日本の歌曲や童謡唱歌を歌う大変素晴らしいものです。テーマリサイタルの「空」「明」「玄」「開」も大変素晴らしいものでした。奥深い日本語、美しい日本語、奥深き音楽、そして幅広い音域の内面・内なる世界・心に共鳴する大野一道先生の歌・お声が大変印象的でした。

 小川雄亮拝 バリトン歌手・音楽評論家・イタリア研究家:小川雄亮 Yusuke Ogawa

 

ナポリ・サンカルロ劇場開幕・シーズンオープニング2014

ヴェルディ「アイーダ」オープニング初日。バルコニーから顔を出して横をみると、隣に日本人っぽい若い方2人が座ってニコニコしています。
話しかけると、素晴らしい方達でした。声楽家・バリトン歌手の小川雄亮さんと、ピア二ストの坂本恵梨さんでした。小川さんは、日本大学芸術学部で学び、イタリア各地で研鑽を積んだ後、現在は南イタリア・カンパーニア州でナポリ民謡・カンツォーネを学んでいらっしゃるそうです。坂本さんは、日本在住ですが、頻繁にイタリアにも来られるイタリア音楽の伴奏ピアニストの専門です。「ナポリ楽派」ならぬ、「南イタリア修業派」に出会えて嬉しい夜になりました。

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伴奏ピアニスト:坂本恵梨さん(左)、声楽家・バリトン歌手:小川雄亮さん(右